日本で初めて「CANONICO FABRIC ACADEMY」カノニコ ファブリックアカデミーが開催されました。 先月貴重な機会にご招待いただきまして、榛葉が参加してきました! そう、今回は山本に変わって榛葉(シンバ)がブログを担当します。 「CANONICO FABRIC Academy」カノニコファブリックアカデミーとは・・・ファブリックとメンズファッション、生地の生産工程等の知識を深めるためカノニコ社によって2013年に立ち上げられました。 講師は、はるばるイタリアよりカノニコ本社マネージャーのヴァレンティーナさんが来日。 今回のアカデミーでは、カノニコ社の歴史から始まり、ブランドタグに秘められた想い、製造工程や物作りに対する拘り抜かれた精神など完成した生地やスーツからは得ることのできない素材への拘りなど、濃い内容で盛りだくさんでした。 面白いお話ばかりでしたので、2部にわたりご紹介します( ̄^ ̄)ゞ 今回は原毛から織になるまで〜 ・原毛
これがウールの原毛。ふわっふわです。 原毛は主にオーストラリアやニュージーランドから輸入され、工場があるイタリアのビエラ地区で生地へと加工されていきます。 カノニコは自社で牧場を持ち、羊の飼育から一貫して行歌め、高品質を徹底して守ります。 ・コーミングとギリング
刈った後の原毛を洗ったりして均一な太さに揃えます。ここで均一な太さに揃えられた毛をさらに細く引き揃えていくと写真左のようになり、これをウールスライバーと呼びます。 細く引き揃えられたウールスライバーを、ギルという機械を使って繊維を平行に揃えます。そしてこの後いよいよ糸にしていきます。 思わずにおいを嗅いでしまいましたが、ケモノ臭はしませんでしたヽ(´∀`)ノ ・ロービングとスピニング
ロービングとは、ウールスライバーに荒めの撚りをかけた紐状のもの(写真左)で、これをボビンに巻き取り、スピニングという工程で撚りをかけて糸にしていきます。(写真真ん中) その後染色します。(写真右) ※ちなみに、染色には大きく分けて3種類あります。 1・トップ染め・・・糸にする前の段階で染める。複数色で生地を作る際に用いれられます。 2・糸染め・・・・・写真のように糸にしてから染める。最もポピュラーで発色が良いです。 3・後染め・・・・・糸を織って生地にしてから染める。生地を織ったあと必要に応じて染められます。 さてさて、ようやく糸が完成してこれからは生地にする工程です。 ご存知の方も多いかと思いますが、生地は経糸と緯糸で織り上げられており、経糸は生地の長さ、緯糸は生地の巾になります。 ・ワーピング まずは経糸(たていと)の準備。 織機に経糸を揃え、この作業が終わると製織の準備完了です。 ・ウィービング 次は緯糸(よこいと)です。揃えられた経糸の間に緯糸を通していきます。 現代ではものすごい速さで織りあげる高速織機と呼ばれる機械を使い、空気や水で緯糸を通します。このような機械が開発される前までは、低速織機(ションヘル織機)という機械が使われていました。これは、小型船のようなシャトルと呼ばれる物体に緯糸をセットして、シャトルを左右に行ったり来たりさせる事で生地を織っていました。ちなみにスペースシャトルのシャトルはここから名付けられたそうです。 ・ロウファブリック
ようやく織りあがった最終工程前の生地を、ロウファブリック(写真左)と呼びます。 この段階での触り心地はゴワゴワしてハリがあります。モヘア40%くらい入ってる?と思うくらいハリがあります。 ・フィニッシング いよいよ生地が完成する仕上げの最終工程。 この工程では生地表面を焼いたり洗ったりして製品として仕上げます。フランネルやミルド生地などはこの工程で処理の仕方が異なります。写真では分かりにくいですが、見た目の光沢感や滑らかさやしなやかさがあり、いかに最終工程が大切かということがわかります。 ここまでが生地が出来上がるまでの流れ。 そしてこの後、驚きの工程が・・・ ・品質検査
なんと、生地10mごとにキズや糸抜けなどがないかを人の目で4回チェックします。キズなどを発見した場合は、一つ一つ人の手でニードル使って直して、ようやく世に送り出されます。 IT化が進む昨今でも、最終的には人の力が必要なんですね。 最高の品質を作るための羊の飼育や素材の調達から始まり、それを製品化するまでの行程を全て一貫して自社で行っているカノニコ社。そんなカノニコ社のブランドタグには「クオリティへの探究」を意味した紋章(クレスト)が掲げられています。 このようにして生地となり世に送り出されますが、普段私たちが着ているスーツ になるには、縫製工場の職人さんなど 多くの人の手が加わり、ようやく着用することができます。 経糸緯糸が交差して生地が織り上がるように、いろんな人の技術が混じり合いようやく完成する1着のスーツ。製造工程を知ると今まで以上に愛着が湧きますね。
次回はカノニコ の奥の奥をご紹介します。